2017年08月31日

圧巻!一切経版木6万枚

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京都に行ってきました。京都での楽しみは、お気に入りのお寺を訪れること。今回は、宇治にある黄檗山(おうばくさん)宝蔵院(ほうぞういん)です。ここは一切経の版木6万枚が収蔵されていることで有名です。仏教の教えのすべてを総称して「一切経」と呼んでいます。「一切経」という名の単独のお経があるわけではありません。『般若心経』も『法華経』も『華厳経』も『涅槃経』も「浄土三部経」もすべて「一切経」に含まれています。日本のすべての仏教宗派が読むお経がここにあるのです。

1669年、鉄眼(てつげん)禅師というお坊さまが、仏教国日本に「一切経」がないのを残念に思い、自ら発願し、版木の製作に取りかかりました。9年の歳月を要して完成させたのが、この、うずたかく積まれた版木たちです。これらは重要文化財ですが、驚いたことに、現在でも職人の手で刷られ、お経本として販売されています。

私たち僧侶にとっては「人生のすべて」とも言える一切経です。ですが、一生をかけても読破することはできないでしょう。教えを学び尽くせないのなら、せめて謙虚でありたいと思います。

一切経は、インターネットで全文を読むことができます。
ものすごいことですね。
http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/ddb-bdk-sat2.php


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posted by むしょうさん at 18:04| Comment(0) | 日記

2017年08月10日

『修証義』 第22節

「しゅしょうぎ」は、道元禅師(1200−1253)のお言葉を集めて作られた曹洞宗の基本聖典です。仏教の要点を全31節にまとめ、仏さまの教えを易しく解説しています。皆さまに仏教とのご縁を深めていただきたいと願い、古文の『修証義』を現代語に翻訳しました。卒業論文で初めて試みて以来、この作業は私のライフワークになりつつあります。私の等身大の『修証義』としてご覧いただければ幸いです。

【現代語訳】
愛語(あいご)とは、穏やかで優しい言葉のことです。幼い子に接するように、「守ってあげたい」という気持ちを込めて語るのが愛語です。善いことをしたら褒めてこれを伸ばし、悪いことをしたら憐れみの心で教えます。自分と敵対する人の荒ぶる心を鎮め、争う人々を仲直りさせるのも愛語です。面と向かって愛語を聞けば、心躍るような嬉しい気持ちになります。また人づてに愛語を聞けば、その優しさに感動します。愛語には、不可能を可能にする力があることを学ばなければなりません。

【ミニ法話】
言葉は凶器です。争いの原因を作り、人を死に追いやります。平等の世界に差別を生み、相対の世界に絶対を生み、存在しないものを存在するかのように語ります。この意味で、言葉はろくでもないものと言えるかもしれません。私たちは、意識せずに言葉を凶器にしています。この「意識していない」というのが恐ろしいのです。知らない内に、人を傷つけ、恨みを買っています。意識していないということは、素の自分がすでに間違っているということです。そうであるなら、「素の自分」といった危ういものは一日も早く捨てて、「新しい自分」を育てなければなりません。それが、愛語を学ぶということです。経典には「愛語には天を動かす力がある」と書かれています。天を動かすのですから、心一つ動かして、新しい自分を育てることぐらい朝飯前です。素の自分に任せないで、愛語を超意識して、新しい自分を育てましょう。

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posted by むしょうさん at 08:29| Comment(0) | 現代語訳『修証義』

2017年08月02日

比べる心

人が二人集まると、それぞれに自意識が生まれ、自分と相手とを比べる心が芽生えます。一人でいた時にはなかった心です。比べる心は良い時もあれば悪い時もあります。悪い時というのは、「上下・勝ち負け」という具合に、両者に価値の差をつけることです。反対に良い時というのは、「お互い様」というふうに両者の価値を等しく見ることです。前者は、喜びと苦しみの繰り返しで、落ち着きなく、心は乱れ、疲れ果てます。後者は、感情の起伏が抑えられ、いつも穏やかでいられます。

私たちは常に比べていますし、また比べられてもいます。人が集まって暮らしている以上、この関係が消えることはありません。そうであるなら、この関係の中にあっても、変わらず幸せでいられるような心のあり方を探すべきなのです。

人は必ず死ぬものです。80年もたてば誰でも死にます。先を争ったところで何になるでしょう。すべての人が等しく「死」という同じ運命を持っているのに、「上下・勝ち負け」といった差をつけて、それがいったい何になりますか。上にいる人は、下に落ちないか不安で仕方がありません。勝っている人は、負けることが不安で仕方がありません。本当の幸せなど手にしていないのです。

誰でも死ぬのなら、それはまさに「お互い様」というものです。「自分も人も同じだ」と思えば、褒められても踊らず、けなされても沈まない心が育ちます。これが、変わらない本当の幸せというものです。河野進の詩をご紹介しましょう。

争って先きがけするより
途中もみんなと仲よく行きたい
どうせ海に落ちつくのだ
あくせくせずに
悠々と参ろう

posted by むしょうさん at 07:53| Comment(0) | 人生相談