2016年10月03日

問い:何をやってもうまく行きません。

答え:そんな自分を丸ごと愛しましょう。

失敗が続いたり、挫折をしてしまうと、自分のことが嫌いになることがあります。「こんな私は生きる価値がない」と思い詰めたりもします。おそらく多くの人が同じ経験をお持ちでしょう。私もそうです。特に器用でもなければ、利口でもない私は、努力することでしか人並みにはなれないと思っています。私なりに努力を重ねてはいますが、それでも心の片隅には、“努力してもカバーできない、どうしよもなく愚かな自分”というものを持っています。厄介なことから逃げたり、やるべきことを怠けたりする“分かってはいるけど、そうできない自分”です。そんなダメな自分を捨て去りたいと思いながら、けっこう楽しく一緒に暮らしているのです。

私は、そんなダメな自分も含めて丸ごと愛せる心を持ちたいと思っています。心理学者のカール・ロジャーズは、「人間には有機体として自己実現する力が自然に備わっている。有機体としての成長と可能性の実現を行うのは、人間そのものの性質であり、本能である」と言っています。人間は、どのような状況下でも成熟に向かって前進する力を本能的に持っているということ、うまく行っても行かなくても、成功しても失敗しても、どんな状況に置かれても、私たちは必ずそれらを自分の成熟に活かすことができるということです。その自己実現力を信じること、それが自分を愛するということです。逃げることも怠けることもあるけれど、決してそれだけでは終わらないものを持っているからこそ、自分を愛せるのです。

自分を愛することは、利己主義とは違います。利己主義の人は、いつも自分が中心でなければ気が済みません。中心にいる自分なら愛せますが、脇にそれた自分は愛せないのです。自分は縁の下の力持ちで、他人が中心になっているのをニコニコ笑って見ていられない人です。本当の意味で自分を愛せる人は、縁の下の力持ちで汗水流して働いて、うまく行かなくても報われなくても、そんな自分を少しもみじめに思わない人です。なぜかと言えば、どんなに苦しい仕事をしていようと、どんなに辛い立場にあろうと、それらは自分の本質とは無関係であり、自分が持つ自己実現力、成熟に向かって前進する力は微動だにしないことを知っているからです。

自己実現する力を信じる人は、自分を愛することできます。そして自分を愛せる人は、他人を愛することもできます。自分の愚かさを許せるあなただからこそ、他人の愚かさを許すことができるのです。何をやってもうまく行かない自分を愛してください。成熟に向かって前進する力を信じてください。逃げても、怠けても良いのです。しばらくは静かにしていましょう。気持ちが十分落ち着いたら、少しずつでも良いですから歩き出してください。それが自分を信じること、自分を愛することです。結果は必ず付いて来ます。

正雲寺副住職 無聖(むしょう)
http://shounji.or.jp

posted by むしょうさん at 06:30| Comment(0) | 人生相談
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